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思考の整理学 新版
1983年、筑摩書房「ちくまセミナー」の一冊として刊行され、2025年現在も超ロングセラーとなっている。約40年という時を経てもなお、人間にとっての課題はそう大きく変わっていないことに気づかされる。
例えば、学校での学び方。問題を与えられ、正解に導かれ、そのまま暗記し、テストで良い点を取るものが優等生とされるというのは、独力で知識を得ていることにはならない。これを著者は、「グライダー人間」と呼ぶ。ひっぱられてようやく、飛ぶことができるというのだ。
一方、「飛行機人間」は、自分でものごとを発明、発見する。自力で飛ぶことが可能である。けれど、基礎知識なしでは事故になり、飛ぶどころではない。
「グライダー兼飛行機」のような人間になるには、というのがこの本のテーマである。
興味深いのは、当時はコンピューターが登場したことで、学校がせっせと育てた「グライダー人間」が仕事を取って代わられた時代である。記憶ばかりに頼り、それにも限度や間違いが生じる中、コンピューターは人間の記憶能力を遥かに上回る上、情報の出し入れも迅速である。現代でも同じことが言われていないだろうか。
AIという、検索で答えを教えるどころか、解答の仕方や表現までも考えてくれるものが登場した。私たちは、コンピューターやAIにできないことを仕事にするしかなくなった。なんでもAIに考えてもらう、というのは、おそらく最後まで人間がAIに取られないであろう仕事をも明け渡すことになる。今までの自分が何を見、聞き、取捨選択してきたか。それらが考えることの核になる以上、一人ひとりの思考は当たり前に違っている。その違いこそが、きっと新たな発見や発展になるし、自己の確立にもなりうるだろう。
最後に。
「思考の整理には、忘却がもっとも有効である。」
本文中には、こんなことが書いてあった。
この本の所在を忘れ、その度に買い直し、現在実家に3冊も置いている私の父は、思考の整理ができているというべきだろうか。否、きっと違うだろう。












